2018年8月の読書メーター

8月の読書メーター
読んだ本の数:6
読んだページ数:2056
ナイス数:14

かみそりの刃〈下〉 (ちくま文庫―モーム・コレクション)かみそりの刃〈下〉 (ちくま文庫―モーム・コレクション)感想
ストーリーよりも個性豊かな登場人物の描写に重きが置かれている印象。戦争、宗教、インド神秘主義などの要素がこれでもかとばかりに詰め込まれており、スケールの割に全体のまとまりに欠ける感が否めなかった。ただ主人公や周りの人物の描写についてはとにかく鬼気迫るほどのリアリティで、さすがモームと言わざるを得ない。
読了日:08月31日 著者:サマセット モーム
かみそりの刃〈上〉 (ちくま文庫―モーム・コレクション)かみそりの刃〈上〉 (ちくま文庫―モーム・コレクション)感想
女性の人物描写に定評のあるモームだが、本作では男性主人公の描き方が光っており、過剰になってしまいがちな人物造形が絶妙なバランスを保っている印象。小説らしい小説は久しぶりなので、とても楽しんで読んでいる。下巻は果たしてどうなるのか。
読了日:08月25日 著者:サマセット モーム
鼻/外套/査察官 (光文社古典新訳文庫)鼻/外套/査察官 (光文社古典新訳文庫)感想
想定外の落語調訳文に初めは面喰らったが、ゴーゴリに対する深い理解や愛が無いとここまで大胆な翻訳は出来ないと思うし、どの作品も単純に楽しく読めたので結果オーライだと思う。落語と相通じるものがあるということは、ロシアとか日本とか国境を越えた面白さが伝わった事になるし、外国文学に対するハードルも下がると思うので、今後もこういった試みは個人的にはウェルカムである。
読了日:08月13日 著者:ゴーゴリ
魯迅文集〈1〉 (ちくま文庫)魯迅文集〈1〉 (ちくま文庫)感想
「吶喊」と「彷徨」魯迅の小説集×2が1冊にまとめられている。吶喊に比べて彷徨の作品の方がユーモアを含んだ作品(ex高先生)もあれば、とことんヘビーな作品(傷逝)もあるので間口が広く、多彩なった。都市生活者を題材にしたものが若干増えたかも。ただどんな作品にせよ魯迅は徹底して突き放したスタンスで描くので、読者の感情が多少揺れたとしても「そんなことより、お前今の社会で本当にいいのか」と怒られそうな気がする。
読了日:08月07日 著者:魯迅
阿Q正伝・藤野先生 (講談社文芸文庫)阿Q正伝・藤野先生 (講談社文芸文庫)感想
「吶喊」「彷徨」「朝花夕拾」からチョイスされたベストアルバム的な1冊。「吶喊」は訳者は異なるが既に岩波文庫版で読んでいたので「彷徨」からの4篇と藤野先生を読んだ。魯迅の短篇はだいたい読んでてしんどくなるのだが、中でも「孤独者」のボディブローのような感触が一番キツかった。読んでいて感じるしんどさ、キツさこそが魯迅を理解する手がかりになると思うが、今のところはただしんどいだけである。「藤野先生」は先生のどの性質が魯迅の心に引っ掛かったのかよく分からず。
読了日:08月06日 著者:魯迅
魯迅 (講談社文芸文庫)魯迅 (講談社文芸文庫)感想
「吶喊」「野草」を経て読んでみた結果、主題の魯迅よりも竹内氏の無骨な人間臭さに魅了されてしまった。文学者としての魯迅のスタンスは一筋縄ではいかない捻くれ具合だが、竹内氏は「日本とアジア」同様、寄り道しまくった挙げ句当たって砕ける感じの展開で全く飽きない。とにかく魯迅の書いてる事を真に受けてはいけない、という事だけは分かった。
読了日:08月03日 著者:竹内 好

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