言葉とは何か 丸山圭三郎
1.言葉は事物の名称リストではない(ソシュール)
外国語を学ぶ
→分析やカテゴリー化の新しい視点を獲得する
外観は似ているが大きく意味が異なる(ex英語↔仏語)
-単語
-構文
★現実を見る眼鏡が言語によってかなり異なる
シニフィアン「意味するもの」
シニフィエ「意味されるもの」
唯言論
Ⅱ
ホモ・ファーベル(道具を作るヒト)
ホモ・サピエンス(知恵のヒト)
★ホモ・ロクエンス(言葉をもつヒト)
言葉→生理器官の本能的使用とは本質的に異なる
(狼に育てられた少女、チンパンジーに言語を教える→
言語起源のテーマはタブー(あまりにも大きな問題)
言霊思想(古代人の言語観、神話的思考)
◼言語省察の歴史
第一期
言葉→思弁の対象(形而上学、哲学)
第二期
サンスクリットの発見
科学としてのステータス(比較文法、歴史言語学)
第三期
ソシュール以後、コペルニクス的転回
プラトン『クラテュロス』(名の正しさについて)
二つの学派が対立
1.名称と事物との間に自然な関係がある(クラテュロス)
2.事物の命名は恣意的なものに過ぎない(デモクリトス)
17,18c
ポール・ロワイヤル文法(一般・理性文法)
ランスロー、アルノー
「言葉は思考の反映である」
19c
科学的経験主義
ボップ 言葉の誕生と発展を観察する
シュライヒャー、パウル 自然科学に近づける
→人間学的視点の不在
哲学的思弁から科学的観察の対象へ
ソシュール「科学的という表現が意味するものは何か」
ソシュール
▼ランガージュ
言語、抽象化、象徴、カテゴリー化などの能力
普遍性
潜在的能力
▼ラング
多種多様な国語体
特殊・個別性
顕在的社会制度
一種の暗号表に例えられるが、誤解されがち
▼▼パロール
特定の話し手によって発せられた具体的音声の連続
★既成のラングに個人が拘束される
(人間が自ら作り出したものによって逆に支配される)
▼「体系」
全体があってはじめて個が存在する
全体との関連と他の要素との相互関係のなかで、
▼▼連辞関係
各要素が特定の連辞のなかで、
▼▼連合関係
実際は発話されなかったが語る主体の選択次第で、
・共時言語学
→ある一定時期のラングの記述
・通時言語学
→時代とともに変化するラングの記述
「時代のある移り変わるさまざまな段階で、
▼共時態
▼通時態
言葉以前の現実→混沌とした連続体
→自国語の意味体系のお陰で、
「言葉に依存しない概念も事物もない」
「事物を作り出すのは視点である」
メルロ=ポンティ
「言葉は認識の後にくるのではなく、認識自体である」
相互的差異化活動こそ言葉の働きである
指向対象
×言葉以前から存在する分節された実体
○言葉の誕生とともに生まれる「関係付けられたモノ」
「言語に先立つ観念はなく、言語が現れる以前は、
▼言語記号(シーニュ)
▼▼シニフィアン「意味するもの」
▼▼シニフィエ「意味されるもの」
▼記号素(モネーム)→
▼▼語彙素→語彙的意味
▼▼形態素→機能的意味
音素(フォネーム)→シニフィアンの最小単位
★驚くべき経済性(無駄のなさ)
シニフィエ、シニフィアン間の無動機性
★原理的にはいかに恣意的なものでも、
★言語の本質的機能→その信号性にある
★言語→海辺の砂地の上に広げられた網のようなもの
「もともと単位という客観的実体は存在しない(
「意味」
-signification
そのシニフィエ
-sens
抽象的なシニフィエが特定のコンテクストにおいて獲得する具体的
-外示的意味、デノテーション
語のもつ最大公約数的、抽象的意味
ラングに属する意味(signification)
-共示的意味、コノテーション
語のもつ個人的、状況的意味(sens)
三つの種類
1.一言語内の個々の語に宿る個人的・情感的イメージ
→ラング化されていないパロール次元
2.一定時期のラングに見出される共同主観的付随概念
「ユダヤ人はユダヤ人さ」
★3.
→日常の言語状況にあって既成の意味体系、
(言表、言述、テクスト)
「既成のものによって作られた、かつて存在しない関係」の樹立
→主体が真の表現行為を行いさえすれば、
ex)詩
※1,2は日常の言語の次元だが、3はより高次の言語に属する