2021年08月の読書メーター

8月の読書メーター
読んだ本の数:4
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ナイス数:58

不況のメカニズム―ケインズ『一般理論』から新たな「不況動学」へ (中公新書)不況のメカニズム―ケインズ『一般理論』から新たな「不況動学」へ (中公新書)感想
稲葉振一郎氏曰く「貨幣的ケインジアン」の著者が一般理論の欠点を捕足しつつ「流動性選好」や「経済全体の効率」に着目して独自の不況理論を導出する。簡潔で無駄のない文章表現はいかにも理系的。ケインズ理論の専門知識がなくてもそこそこ読めるという点では評価できるが、失業者や貧困層対策についての記述に人間味が感じられない印象は否めない。平成不況や小泉構造改革マクロ経済学者にとって絶好のサンプルのように見える。
読了日:08月27日 著者:小野 善康


ケインズとハイエク―貨幣と市場への問い (講談社現代新書)ケインズとハイエク―貨幣と市場への問い (講談社現代新書)感想
中盤まで小難しい経済学の話が続くのでしんどかったが「頭のキレる行動派」ケインズと「コツコツ地道な研究者」ハイエクを比較しつつ、経済学の枠に収まらないハイエクのスケールのデカさを見せつけられた。一風変わったハイエク入門書といった趣き。
読了日:08月18日 著者:松原 隆一郎


僕の場所僕の場所感想
自らのルーツとなった場所について掘り下げており、単なる自伝にとどまらないスケールの内容になっている。「近代」という視点や「拒否」から産まれるモノについての考察が興味深く、コンクリート建築を始めとした多種多様な価値観にケンカを売っているのが意外だった。
読了日:08月08日 著者:隈 研吾


岸田劉生 (岩波新書)岸田劉生 (岩波新書)感想
美術史家である著者が、画家が生前描こうとした「美」とは何か、文筆及び画業それぞれの側面からスリリングに迫る一冊。家族や仲間内ではなく、第三者の視点から画風の推移や転機となった作品について解説しており、理論家としての岸田劉生の生き様を知ることができた。
読了日:08月02日 著者:富山秀男

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