2018年10月の読書メーター

10月の読書メーター
読んだ本の数:9
読んだページ数:2318
ナイス数:42

赤い唇 (集英社文庫)赤い唇 (集英社文庫)感想
最初から最後までとにかくドロドロしている。複数の男女の思惑が交錯する「アルゼンチン版昼ドラ」的な内容だが、身分、都会と田舎、不治の病、信仰などの要素に加えて、プイグが得意とする変則的な文章構成が物語に奥行を持たせている。マルケスの「予告された殺人の記録」を読んだときの救いの無さを思い出した。
読了日:10月30日 著者:プイグ
ブエノスアイレス事件 (白水Uブックス (63))ブエノスアイレス事件 (白水Uブックス (63))感想
小説っぽくない独特な構成とドロドロした性表現が特徴的だが、その先にあるのは愛や希望ではなく、病的で歪んだ欲望がアルゼンチンを舞台としたキャンバスにこれでもかとばかりに叩きつけられている印象。冗長な部分も殆どなく、なかなか面白かったが、ベストセラーになるほど万人受けするとはとても思えない。
読了日:10月25日 著者:マヌエル・プイグ
会話もメールも 英語は3語で伝わります会話もメールも 英語は3語で伝わります感想
「3語」というのは実際に単語が三つしかない訳ではなく、文の中の要素が三つという意味なので若干誇大広告気味な感じは否めないが、全体を通して趣旨はまともだし、英語をコミュニケーションの道具として使いこなしたいのであれば、TOEICの勉強をするより、この本の内容を徹底的にマスターした方が良いのではないか。斬新な切り口の良書だと思う。
読了日:10月23日 著者:中山 裕木子
フエンテス短篇集 アウラ・純な魂 他四篇 (岩波文庫)フエンテス短篇集 アウラ・純な魂 他四篇 (岩波文庫)感想
最近個人的にラテンアメリカ文学がアツいので初フエンテスに挑んでみたところ、ボルヘス直系の不気味さ、生と死が地続きなフアンルルフォ、ガルシア=マルケス感があった。ただコルタサルっぽい主観性はあまり感じられず、第三者的な客観的視点に徹しているように思えた。
読了日:10月18日 著者:カルロス フエンテス
奪われた家/天国の扉 (光文社古典新訳文庫)奪われた家/天国の扉 (光文社古典新訳文庫)感想
『訳分からないけどクセになる』コルタサルの魅力が詰まっているが「キルケ」はトラウマになりかねないインパクト。マンクスピアとは何なのか気になってしまい、ついついググってしまった。コルタサルの未訳の作品はまだまだあると思うので、寺尾隆吉さんにはこれからも是非頑張ってもらいたい。
読了日:10月14日 著者:フリオ コルタサル
八面体 (フィクションのエル・ドラード)八面体 (フィクションのエル・ドラード)感想
短編は長編と違って、その作品を読んだことでしか感じられない或る特別な感情を味わうことのできる表現形式だと思うが、そういった意味においてコルタサルは短編職人だな、と感じた。読者を作品ごとに様々な感情の迷路に容赦なく突き落としてくれる迷作。
読了日:10月12日 著者:フリオ コルタサル
十二の遍歴の物語 (新潮・現代世界の文学)十二の遍歴の物語 (新潮・現代世界の文学)感想
ヨーロッパを舞台にした短篇が多いせいか、幻想的リアリズム感は控えめ(ゼロではない)で、日常の延長を題材にしたライトな作品が多い印象。文体はいつものマルケス節だが、他の作品に比べて気軽に楽しめるものが多かったように思う。
読了日:10月09日 著者:G.ガルシア マルケス
悪魔の涎・追い求める男 他八篇―コルタサル短篇集 (岩波文庫)悪魔の涎・追い求める男 他八篇―コルタサル短篇集 (岩波文庫)感想
世にも奇妙な物語テイストの作品が多いが、その中でも比較的サイズ長めの「追い求める男」がとにかくヤバかった。月と六ペンスを彷彿とさせる、ジャズミュージシャンの生きざまを描く傑作をラテンアメリカの作家が書いていたとは全く知らなかった。
読了日:10月05日 著者:コルタサル
遊戯の終わり (岩波文庫)遊戯の終わり (岩波文庫)感想
「結局謎が明かされないミステリ」的な短篇の数々は割とサクッと読めるが、再読すると味わいが深まるスルメ感あり。全てを語らず、余白部分を読者の想像に委ねているような印象。「牡牛」や「昼食のあと」「遊戯の終わり」といった作品が好みだった。
読了日:10月02日 著者:コルタサル

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